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リレー小説TLについて
その名の通り、リレー小説をつくるTLです
突飛な展開にしてもOK
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「そんな気を使わんでも」
「いや、ぜひそうさせてくんろ。オラ、いっぱいお返しがしたいんだっぺ!」
泣きそうな顔でキツネは懇願します
その姿におじいさんも無下にするわけにはいかず、
「わかった。ありがたく受けとる」
キツネの頭を優しく撫でてそう言いました
「やったぁ、オラいっぱい取ってくるべな」
しっぽをブンブン振っておじいさんを見ました
「どれ、お前の家まで送って行ってやろう」
「大丈夫だべな、すぐそこだから。おじいさん、本当にありがとう」
キツネはおじいさんから離れるとぺこりとお辞儀をして、森の中へと走っていきました
その姿を目で追いながらおじいさんは小さく息をつき、
「はぁやれやれ…あ、ばあさんを迎えに行かにゃならんかった!」
おじいさんはあわてて川の方へと早足で向かいました
キツネは言いました
「迷惑じゃなければオラ、毎日じいさんの家ん前に栗とか食える木の実置いていいべ?…おらの名前ごんって言うんだべ…」
「キ、キツネ?!」
おじいさんは目が飛び出るほど驚きました
「あ、おじいさん。元に戻してくれてありがてぇ」
「一体どうしたことじゃ」
キツネは突然、しくしくと泣き始めました
「オラにもわからないだ。変なやつに無理やり化けさせられただ。そのあとのことはよくわからねぇだ」
「ふーむ、そうだったのか…。もう遅いから帰るがいい」
「オラ、なにか恩返しがしたいんだぁ」
キツネは、ひしっとおじいさんにしがみつきました
おじいさんは、はてどうしたものかと思案顔です
なんと キツネではありませんか。
「ぅ…うう…!?オラは…いったいなにを!!?…」
何やら怪しい術でキツネは化け物にされていたようです。
悶え苦しむではありませんか!
「ぐぅぅぅっ、おのれ小賢しい真似を…!」
妖は身をよじらせながら本性を現しました
その姿は
ハッ!とお爺さんは我に返りました。怪しげな女のまじないかなにかでしょうか、お爺さんはいっとき正気を失っていたようです。慌てて塗り忘れていた耳にもしっかりと軟膏を塗りこめました。するとどうしたことでしょう、木の下にいる女が、
木で言うなら股の部分でした。軟膏による強制的な生体組織活性化により全盛期の力を取り戻したおにいさんはなぜかそこに塗ることを失念していました。強烈なメンタルブロックのせいかもしれません。「貴方は忘れている」鬼は妻は寂鬱とした妖艶の響きと共に軟膏を塗りました。妻の白く美しい何かがおにいさんの塗られていなかった部分を塗りたくります。おにいさんは苦悶のうめきをあげます。それが苦痛なのか快楽なのかわからなかったから。
███y……
失われたはずの妻は微かな喜びを滲ませながらささやきました。「わかる? 私たちは因果率に引き裂かれたアルタイルとベガ。そして二人の邂逅は未だ霧に阻まれている」おにいさんにはわかりかねる言葉がところどころに混ざっていました。「あるいはオルフェウスとエウリュディケー。█がふたりをわかつ……最悪はイザナギとイザナミ。貴方が捨て私が憎悪し互いに敵となる」
最後のそれだけは御免だ。最悪すぎる。おにいさんは呟きました。
それは数年前に鬼退治の旅に出たおばあさんが別れの際に託していったオ口ナイン軟膏でした。「これはしめた。オ口ナイン軟膏には退魔の力があるという。ばあさんの持たせてくれたこの軟膏で、危機を脱することができるかもしれん。」おじいさんはこれ幸いとおもむろに服をはだけさせ、若木のように細く枯れ枝のように乾いた肌にしっとりと染み込ませるように、体中に軟膏を塗りたくっていきます。しかし、おじいさんはたった一か所だけ軟膏を塗りそびれてしまったのです。それは、
どうするどうするどうする…
お爺さんは不安でいっぱいなり、ギュッと身を縮こませました。すると、懐に何か固い感触があります。取り出してみるとあの軟膏でした。
「い、いえ、わしなんぞが」
言葉遣いに気をつけながら断りました
「そのような遠慮はいらぬゆえ、ほれ近うよるが良い」
ホホホと笑い、なお手招きをしてきます
(わし、もしかして妖にたぶらかされてる…?)
絶体絶命のピンチです
「ふむ…ではもっと近くで見るが良い。ほれ…」
女が手招きしてお爺さんを促します。お爺さんは、あっ下に降りたら4ぬな…と思い、
このまま黙っているのもまずいと考えたおじいさんは、
「は、はあ……そうですねえ」
と答える。
出逢ったころのばあさんには負けるが、という余計な言葉はかろうじて飲み込んだ。
終わった、とお爺さんは思いました。どう見ても確実にこの世の者ではありません。
白い着物に口から下を大きな布で隠した黒髪の若い女でした。そして、目のあったおじいさんに 問いかけました。
「妾は…美しいかの?」
しばらくすると同じように木の下に駆け込んできた者がおります。お爺さんがひょいと見下ろしてみると、
「ひゃああ、こいつはたまらん!」
おじいさんは川近くの大木に走り、雨宿りをすることにしました
するとにわかに空に黒雲が立ち込め、やがて雨が降りだしました。
「いやあの、み、見なかったなぁ」
モゴモゴと言葉を濁して誤魔化しました
「ああそうかね、ったくタヌ公のやつ犬のように逃げ足の速いこと!」
ぶつくさいいながら、田吾作どんの女房はたぬきを探しに近くの草むらへと消えていきました
「はぁ…、バレたらあとが恐ろしいが今はそれどころじゃない。ばあさんを迎えに行かないと」
悪い汗をかきながら、おじいさんは川へと向かうのでした
川に行く途中で田吾作どんの家の前を通り掛かりますと、田吾作どんの女房に声をかけられました。
「爺さん!ここいらで狸をみなかったかえ」
「えっ」
「ほらこの罠にかかっていたやつが、アタシがちょいと湯を沸かしてる間に逃げちまったんだよ。今から狸鍋にしようってときに…」
女房の後ろで子供達が、腹減った、腹減ったと泣いています。お爺さんはなんと答えるべきか迷って、
「親方、じゃなくておばあさんでしたら、川へ夕飯の魚を釣りに行きましたよ」
そう言ってたぬきはニコニコしてお粥をかき混ぜています
おじいさんは何故、たぬきがと思いましたがおばあさんのことが心配でなりません
「もう日も落ちたというのにばあさんときたら危機管理がなっとらん!」
おじいさんはたぬきに留守を任せて、川へおばあさんを迎えに行くことにしました